開湯1000年以上の歴史を持つ鳴子温泉には5ヶ所の温泉地があり、それぞれ個性のある湯めぐりが楽しめます。
400本近くの源泉があり、豊富な湯量を誇るため多くが源泉かけ流しの風呂となっている。
日本の天然温泉には11種類(旧泉質)の泉質があるといわれ、鳴子温泉郷にはその内の8種類までが揃っており、環境省指定の国民保養温泉地になっている。
湯色も白濁、緑白、青色、茶褐色、黒色、無色などさまざまで、天候によって日ごとに変化する時もあります。
名物の栗だんごや、しそ巻きに舌鼓を打ちながら鳴子こけしや鳴子漆器を見て回るのも楽しそみ。
鳴子温泉・東鳴子温泉・川渡温泉・中山平温泉・鬼首温泉の5つ温泉地から成る「鳴子温泉郷」は、1000年以上の歴史を誇ります。多彩な泉質が魅力で、日本の全10種類の泉質のうち、8種類の泉質を楽しむことができます。湯めぐりをしてお好みの泉質を見つけてみてください。源泉の数は400本近く、源泉100%かけ流しの風呂も多くあります。
温泉郷のうち最も規模が大きい「鳴子温泉」は、秋保温泉、飯坂温泉とともに奥州三名湯の一つに数えられています。近くには景勝地「鳴子峡」もあり、「鳴子こけし」も有名です。
その近くに位置する「東鳴子温泉」は、落ち着いた雰囲気の温泉街が魅力。湯治客も多く訪れます。
温泉郷のなかで最も古い歴史を持つ「川渡温泉」には、静かで心和む町並みが広がります。
美肌の湯・美人の湯として知られている「中山平温泉」は、そのヌルっとした感触から「ウナギの湯」とも呼ばれています。
間欠泉で有名な「鬼首温泉」は自然豊かなリゾート地としても人気。オニコウベスキー場などがあり、ウィンタースポーツを満喫した後、温泉でしっかり疲れを癒せそうです。
鳴子温泉
鳴子温泉(なるこおんせん)は、宮城県大崎市にある温泉地です。福島県の飯坂温泉、宮城県の秋保温泉とともに、奥州三名湯に数えられる名湯の一つです。鳴子温泉は栗駒国定公園内に位置し、国民保養温泉地として親しまれています。
また、現在の行政地名としては玉造郡旧鳴子町に該当します。厳密には「鳴子温泉」の大字というものはなく、旧鳴子町の大字が「大崎市鳴子温泉○○」の大字として継承されています。
地名の発音は仙台弁をはじめとする東北弁によって、「なるご-」と濁音で呼ばれることも多いです。かつては鉄道駅の名前も「鳴子駅(なるごえき)」と濁っていましたが、1997年に改称されて「鳴子温泉駅(なるこおんせんえき)」となりました。なお、「ナル」は山腹または山裾の傾斜の緩いところを指します。
古代から中世にかけては「玉造湯(たまつくりのゆ)」と呼ばれ、江戸時代に入ると仙台藩領を示す「仙台」を冠して「仙台鳴子の湯/仙台成子の湯」と呼ばれるようになりました。
かつては周辺の温泉地をまとめて「玉造八湯」と呼んでいましたが、そのうち「鳴子(湯元)、河原湯、元車湯、新車湯」の四湯が現在の鳴子温泉として知られています。それぞれの湯には、かつては脚気に、胆石に、疝気に、瘡に効くとされる特性があったとされています。
泉質
鳴子温泉では、7つの異なる泉質の温泉を楽しむことができます。それぞれの泉質は以下の通りです。
地質的には、花崗岩類を基盤とし、その上に中新統の緑色凝灰岩層が変朽安山岩類と共に発達しています。鳴子峡凝灰岩と溶結凝灰岩層が重なり、鳴子湖成層に覆われ、地表は段丘堆積物および鳴子火山噴出物に覆われています。
源泉の分布は3つに分類できます。
荒雄川に沿って湧出する温泉は第三紀層の礫岩または砂岩の中から湧き出ています。潟沼や湯元などの爆裂火口跡に湧出する温泉は、安山岩と安山岩の間から湧き出ています。
鳴子の温泉群は化学的にⅢ群に分類されます。Ⅰ群は塩類が多く、pH値と泉温が高いです。Ⅱ群は泉温が低く、pH値が中性から酸性の泉が多く、塩類含量はⅠ群より少ないですが、Fe、Al、Ca、Mg、Mnなどが豊富です。Ⅲ群は泉温が44℃以下で、ClやSO4の含有量が少なく、Ⅰ群やⅡ群とは異なる泉質を示します。
鳴子温泉は、鳴子火山群の火山活動による熱源に支配され、地下深部より上昇する高温で高濃度のアルカリ性の温泉が主流です。中心地帯から離れるにつれて、酸性のSO4型や中性のHCO3型の泉質に移行していきます。泉質の多様性や中間的性質を示す泉質の存在は、Cl系高温・高濃度の温泉水とSO4系低温・低濃度の温泉水の二源流水の共存状態、もしくは両者の混合比の現象によるものと考えられています。
温泉街
鳴子温泉街は鳴子火山群の北西の麓にあり、標高は150mから200mです。荒雄川を挟んで、北西に花渕山がそびえ立っています。
温泉街は鳴子温泉駅前から滝の湯方面に向かって、線路や国道47号と平行に広がっています。さまざまなタイプの宿泊施設があり、大型ホテルや旅館、湯治宿などが存在します。駅前には足湯や手湯もあります。
湯元・新屋敷地区は鳴子温泉駅の南側、鳴子火山群の麓に位置しています。車湯地区は新屋敷の東側、荒雄川(江合川)の南岸にあり、国道47号に並行して温泉街を形成しています。河原湯地区は鳴子温泉駅の北側、荒雄川(江合川)の南岸にあり、数件の宿が点在しています。
この温泉街では「下駄も鳴子」というキャッチフレーズで、下駄を履いて歩いて街を巡ることができます。各旅館では宿泊客に下駄を貸し出しており、鳴子温泉駅の観光案内所でも町歩き用の下駄を借りることができます。
また、毎年9月には温泉神社で献湯式が行われます。この献湯式では、温泉の源泉の所有者が湯を持参して神社に奉納し、自然への感謝と鳴子温泉の繁栄を祈願します。
この地域には、湯めぐり広場や温泉神社、成澤不動尊、洞川院などの社寺、日本こけし館や岩下こけし資料館などの博物館があります。また、鳴子峡や大深沢、花渕山、尿前の関、潟沼、鳴子ダムなどの景勝地もあります。
街中には「こけし」が至る所に隠れており、こけしポストやこけし電話ボックス、巨大こけし、リーゼントこけしなどが見どころとなっています。
湯治場
鳴子温泉は昔から近隣地域の農民や漁民など、第一次産業に従事する人々の疲れを癒す場所として機能してきました。江戸時代には、仙台領内の農民が農閑期に訪れることが一般的でした。湯治に訪れる人々の多くは毎年リピートし、それぞれの目的に応じた固定客が存在していました。
湯治の滞在期間は通常7日間を一廻りとされ、多くの場合2回か3回湯治を行いました。湯治の期間中、人々は自炊をし、日用品や必需品は自分で持参したり、宿の内外で購入することができました。
また、一部の宿では将棋や碁などの娯楽施設も備えていました。湯治の浴場はどこも男女混浴でしたが、身分の高い人のためには特別な浴場が設けられることもありました。
鳴子温泉地域には100軒以上の家があり、挽物、曲物、漆器などを売る店が並んでいました。周辺の川渡や赤湯に訪れた湯治人たちもここで温泉土産を購入したと言われています。
近代に入ると、東北大学医学部温泉医学研究所や同附属鳴子分院、国立鳴子病院などの温泉医療施設が整備され、東北地方で最も充実した温泉医療施設として知られるようになりました。
東北地方全体で一泊二食付の宿泊形式を「はたご」と呼びます。鳴子温泉の「はたご」宿は、主に短期滞在の観光客が利用し、湯治客が利用する場合も一部ありました。
共同浴場
地域住民だけでなく、観光客も利用できる共同浴場が鳴子温泉には2つあります。「滝の湯」と「早稲田桟敷湯」が共同浴場として利用されています。その他にも地域住民専用の浴場が点在しています。
滝の湯は湯元に位置し、温泉神社の御神湯として古くから利用されています。総ヒバ造りの浴槽には木樋から源泉が滝のように注がれています。地元の住民も多く訪れ、世間話が弾む場所として親しまれています。シャワーなどの設備はありませんが、「滝の湯保存会」が管理をしています。滝の湯の隣には「ゆさや旅館」があり、こちらはアルカリ性の強い「うなぎ湯」で知られています。源泉は酸性泉で、滝の湯のすぐ側に湧き出ています。
早稲田桟敷湯は新屋敷にある共同浴場で、1948年に早稲田大学理工学部土木工学科の学生たちがボーリング実習で掘り当てた源泉を利用して作られました。1998年には早稲田大学理工学部建築学科の教授石山修武によるデザインで全面改築され、非常に前衛的な内外観が特徴です。
これらの共同浴場にはナトリウム・硫酸塩泉や塩化物泉など、さまざまな泉質があります。鳴子温泉では地元の住民と観光客が一緒に温泉を楽しむことができる、温かな交流の場として大切にされています。
名産品
鳴子温泉地域の名産品には以下のものがあります
鳴子こけし
宮城県北部の名物である鳴子こけしは、鳴子温泉を含む三大こけし発祥の地として知られています。東北地方各地に伝わる土地人形のこけしは、地域によって様々な名前で呼ばれてきましたが、1940年に「こけし」というひらがなの名称が統一されました。
鳴子こけしの特徴は、首が回り音が鳴ることです。胴体は中ほどが細くなっていき、胴体には菊の花が描かれることが多いです。この可愛らしいこけしは鳴子温泉の象徴として親しまれています。
鳴子漆器
鳴子漆器の起源や始まりについては明確な記録がなく、他の漆器産地と同様にはっきりとわかっていません。漆器の製造には木地師、漆かき、指物師、塗師などの専門家の技術が組み合わさっています。
1773年の文献に初めて登場し、「ぬりもの」とだけ記述されていたとされます。戦争の影響で会津から多くの漆器職人が流出し、彼らが鳴子に移住して漆器の再興に貢献しました。
鉄道の開通や観光の増加により、鳴子は漆器業から観光産業へと変わっていきました。こけしブームの到来により、横木挽職人がこけし工人に転向したため、木地の需給関係が変化しました。
現在でも鳴子漆器は、木地塗やふき漆塗の椀などが再び生産され、地域の伝統工芸として大切に守られています。
JR陸羽東線の下記いずれかの駅下車
川渡温泉駅
鳴子御殿湯駅
鳴子温泉駅
中山平温泉駅