石巻焼きそばの特徴
二度蒸し製法による茶色い麺
石巻焼きそば最大の特徴は「二度蒸し」にあります。 一般的な中華麺は一度蒸した後に茹でる工程を経ますが、石巻焼きそばは、 中力粉(普通粉)を使って作った生地を一度蒸し、その後水で洗い、さらにもう一度蒸します。 この工程によって、麺の色は黄金色から次第に茶色へと変化していきます。
なぜ茶色くなるのかについては、完全には解明されていませんが、 麺に含まれるかんすいが熱によって変化することが関係していると考えられています。 また、この二度蒸しによって麺はふっくらと柔らかく、だし汁をよく吸収する性質を持つようになります。
だし汁を使った蒸し焼き
石巻焼きそばは、仕上げの焼き上げ時に魚介系のだし汁を加えて蒸し焼きにするのが特徴です。 このだしは、煮干しや昆布などから取られることが多く、香ばしい麺にやさしい旨みをしみ込ませます。 焼きそばでありながら、和風だしの香りがふんわりと漂う、他にはない味わいが生まれます。
トッピングと食べ方
石巻焼きそばの定番トッピングは目玉焼きです。 黄身を崩して麺と絡めれば、まろやかさが一層引き立ちます。 また、店舗や家庭によっては、ハムエッグやベーコンエッグが乗せられる場合もあります。
食べる際には、調理段階でソースを混ぜ込まず、仕上げてから後がけでウスター系ソースをかけるのが一般的です。 だしの香りとソースの香ばしさが混ざり合うこの食べ方は、石巻ならではのスタイルとして長年愛されています。
石巻焼きそばの作り方(基本レシピ)
麺の準備
中力粉で作った麺を一度蒸し、流水で洗って表面のぬめりを取り除きます。 その後、再び蒸すことで茶色く色づき、ふっくらとした食感になります。
焼き工程
熱した鉄板またはフライパンに油をひき、二度蒸しした麺を入れます。 ここで魚介系だしを加え、麺にしっかりと吸わせながら蒸し焼きにします。 具材はもやしやキャベツ、豚肉などが定番ですが、家庭ごとにバリエーションがあります。
仕上げと提供
蒸し焼きにした麺を皿に盛り付け、目玉焼きや紅しょうがを添えます。 食べる直前にウスターソースをたっぷりかけ、好みに応じて七味唐辛子を振っていただきます。
石巻焼きそばの歴史
誕生の背景
石巻焼きそばは、昭和20年代(1950年頃)に誕生しました。 考案したのは、岩手県から移住してきた春元製麺所の創業者で、 「焼いてもベタつかない麺を作りたい」という思いから試行錯誤を重ね、 中力粉を使った二度蒸し製法を生み出しました。
広がりと定着
この製法は徐々に石巻都市圏に広がり、多くの飲食店が採用するようになります。 戦後の食糧事情の中で、腹持ちが良く、だしを吸った優しい味わいの焼きそばは、 市民の食卓に欠かせない存在となっていきました。
現代のPR活動
石巻茶色い焼きそばアカデミーの設立
2007年頃から全国的なB級グルメブームの波に乗り、地元の製麺業者や有志が 石巻焼きそばを名物として広くPRする活動を始めました。 2008年には「石巻茶色い焼きそばアカデミー」が設立され、 名称の統一やイベント出展などの広報活動が本格化します。
B-1グランプリへの挑戦
2009年に「やきそばサミットin黒石2009」や「第4回 B-1グランプリ in 横手」に初参加。 2010年には愛Bリーグ正会員となり、「第5回 B-1グランプリ in 厚木」に出場しました。 翌2011年には「第6回 B-1グランプリ in 姫路」で6位入賞を果たし、 石巻焼きそばの名は全国の食イベントファンにも広く知られるようになりました。
石巻観光と石巻焼きそば
石巻は新鮮な魚介類が豊富な港町であり、観光資源も多彩です。 市街地や港町を散策した後、地元ならではの石巻焼きそばを味わうことは、 観光客にとって大きな楽しみのひとつとなっています。
震災復興の歩みの中で、地元飲食店は石巻焼きそばを通じて 「石巻に来てもらうきっかけ作り」に力を入れてきました。 その結果、この焼きそばは単なるB級グルメではなく、 地域の文化と歴史を背負った石巻の顔として認知されるまでになっています。
まとめ
石巻焼きそばは、独自の二度蒸し製法による茶色い麺と、 だし汁で蒸し焼きにする優しい味わいが魅力のご当地グルメです。 その誕生の背景には、戦後の暮らしを支えた職人の工夫と情熱があり、 現代では地域活性化のシンボルとしても活躍しています。 石巻を訪れた際には、ぜひ本場の石巻焼きそばを味わい、 その歴史と文化を感じてみてください。