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マボヤ

三陸海岸で育った栄養たっぷりの旨味を含む珍味

宮城県は日本屈指のほやの産地(全国の70~80%)。ほやは”海のパイナップル”として多くの人に親しまれている。

一般的に食べられているのは「マボヤ」だが、主に東北の三陸海岸で棲息。体長は約15cm、直径10cmまで成長するが、そこまでに3~4年かかる。

ミネラルたっぷりで、セレニウムやタウリン、グリコーゲン、鉄分も豊富な優れた海産栄養品だ。

旬は5月~8月。冬のホヤに比べてグリコーゲン含有量は7倍以上になり、肉厚も大きくなり、甘みと旨味も増す。調理方法は刺身、酢の物、お吸い物等。

旬     5月 6月 7月 8月

ホヤ

ホヤは、尾索動物亜門ホヤ綱に属する海産動物の総称であり、2000種以上が知られています。別名で「海のパイナップル」とも呼ばれています。

成長過程では変態を経ており、幼生はオタマジャクシに似た形態で遊泳します。幼生には眼点、平衡器、背側神経、筋肉、脊索などの組織があります。

成体は海底の岩などに固着し、見た目は植物の一種と誤認されるほど特異な外観を持ちます。成体には、脊索動物の特徴である内柱や鰓裂、心臓、生殖器官、神経節、消化器官などがあります。脊椎動物に近縁しており、生物学の研究材料として役立っています。一部の種類では血液(血球中)にバナジウムを高濃度に含んでいることが確認されています。

ホヤの生活様式は、群体で生活するものと単体で生活するものがあります。単体ホヤは有性生殖を行い、群体ホヤは有性生殖と無性生殖の両方を行います。世界中の海に生息し、生息域は潮下帯から深海までさまざまです。多くのホヤは植物プランクトンやデトリタスを餌としています。

漢字による表記では、「老海鼠」、「富也」、「保夜」などの表記が古くから見られます。ホヤの名前は、「ランプシェードに当たる火屋(ほや)に形が似ている」という理由や、「ヤドリギ(ほや)にその形が似ている」という理由からきているとされています。また、マボヤはその形状から「海のパイナップル」とも呼ばれることがあります。

なお、俗称でホヤガイ(海鞘貝、ホヤ貝)と呼ばれることがありますが、ホヤは軟体動物の一群に分類される貝類とは全く異なる分類に属しています。

食材

ホヤは日本、韓国、フランス、チリなどで食材として利用されています。その独特な海産物らしい香りと豊富なミネラル分が特徴です。特にマボヤとアカホヤは亜鉛、鉄分、EPA(エイコサペンタエン酸)、カリウム、ビタミンB12、ビタミンEなど栄養素が豊富であり、食材として味わい深いものとして知られています。マボヤの筋膜体に含まれるグルタミン酸と5'-GMPの割合が旨味を増強し、特に旨味が強いです。ただし、一部の種はミネラル分が濃く、摂取すると内臓(特に腎臓)に障害を引き起こすため、「毒ホヤ」と呼ばれることもあります。

日本では、主にマボヤ科のマボヤ(Halocynthia roretzi)とアカボヤ(H. aurantium)が食用として利用されています。特に東北地方北部沿岸の三陸地方でホヤの食用が広く行われ、宮城県の石巻漁港などで酒の肴として親しまれています。北海道でもホヤの食用は一般的ですが、アカボヤの食用流通は少ないです。近年、東京圏でもホヤの食用が広まり、流通が増えています。しかし、中部地方以西や西日本各地ではまだほとんど流通していない地域もあります。

ホヤを調理する際には、ワタと呼ばれる肝臓や腸に独特の匂いがありますが、愛好家の中にはこの匂いを好む人もいます。ワタを取り除いて調理すると匂いは抑えられます。刺身を作る際にはホヤ水を使って身を洗ったり、ワタをホヤ水に溶かして食べることもあります。ホヤは新鮮な状態ではあまり臭わないですが、時間が経つと金属臭やガソリン臭と形容される独特の臭いを発することがあります。鮮度を保つためには冷たい海水に浸しておくと良いでしょう。ただし、首都圏で出回るものは鮮度が悪く、独特の匂いが強まっていることがあり、好き嫌いが分かれる要因になっています。

ホヤを好む人は、甘味、塩味、苦味、酸味、うま味の五つの味が兼ね備わっていると形容し、その形状から「海のパイナップル」とも呼ばれることがあります。ホヤは刺身、酢の物、焼き物、フライなどさまざまな料理に調理され、塩辛や干物にも加工されます。また、塩辛にしたホヤを莫久来(ばくらい)と呼ぶこともあります。

Information

名称
マボヤ

気仙沼・石巻

宮城県