8月から10月頃が旬
宮城県産さんまの旬は8月・9月・10月頃です。秋の漁期には港に新鮮なサンマが次々と水揚げされ、産地ならではの味を求めて多くの人が訪れます。
特に鮮度の良いサンマは、塩焼きだけでなく刺身でも味わいたい逸品です。脂の甘みとサンマ特有の風味をそのまま楽しむことができ、酢味噌や薬味を添えた醤油などで味わうと、さっぱりとした中にも濃厚なうま味を感じられます。
焼いても煮ても刺身でもおいしいサンマ
定番は香ばしい塩焼き
サンマの代表的な食べ方といえば、やはり塩焼きです。脂ののったサンマを香ばしく焼くと、皮はパリッと、中はふっくらとした食感に仕上がります。大根おろしやすだちなどを添えれば、脂のうま味を楽しみながらさっぱりと味わえます。
さまざまな料理に活用できる魚
サンマは身が柔らかく、調理しやすい魚でもあります。塩焼きのほか、つみれ汁、煮付け、佃煮、フライ、巻き寿司など、さまざまな料理に利用されています。魚料理に慣れていない方でも扱いやすく、家庭料理にも取り入れやすい魚です。
また、サンマにはEPAやDHAなどの高度不飽和脂肪酸を含むほか、たんぱく質やミネラルなども含まれています。秋の味覚としておいしく味わえるだけでなく、栄養面でも魅力のある魚として親しまれています。
新鮮なサンマは産地ならではの刺身で
水揚げされたばかりの新鮮なサンマを味わえるのは、産地を訪れる楽しみの一つです。鮮度のよいサンマは刺身にすると、柔らかな身と上質な脂を存分に楽しめます。
脂ののったサンマは、酢味噌や薬味を加えた醤油などとよく合います。焼き魚とは異なる、なめらかな食感と魚本来の風味を楽しめるため、三陸を訪れた際にはぜひ味わいたい食べ方です。
気仙沼などに伝わる郷土料理「サンマのきがき」
魚を使った伝統的な家庭料理
サンマのきがきは、宮城県気仙沼地方などの港町に伝わる郷土料理です。サンマと大根、ねぎなどを使い、魚のうま味を生かして煮込む家庭料理として、サンマが水揚げされる秋の時期に食べられてきました。
現在は醤油を使って味付けするのが一般的ですが、その背景には、かつて魚醤を利用していた食文化があります。「きがき」と呼ばれる調味料は、塩漬けした魚やイカの塩辛などを利用した魚醤の一種で、地域の食生活を支える調味料として使われていました。
魚醤から醤油へ変化した食文化
気仙沼の本吉地方では、かつてカツオが沿岸近くまで回遊し、大量に水揚げされていました。塩蔵したカツオを作る際に生じる漬け汁を利用したものが「きがき」と呼ばれ、調味料として用いられていたと伝えられています。
この魚醤を使って大根などを煮るとおいしいと評判になり、その後、イカの塩辛や塩漬けした魚などをだしとして大根を煮た料理も「きがき」と呼ばれるようになりました。やがてサンマなどの鮮魚も使われるようになり、地域の家庭料理として受け継がれていきました。
明治時代以降、醤油が地方にも広く流通するようになると、サンマのきがきも醤油を使った味付けへと変化していきました。現在では、魚醤ではなく醤油を使ってサンマを煮付けるスタイルが一般的です。
大根とサンマのうま味を楽しむ「きがき」
サンマのきがきでは、サンマとともに大根やねぎを使うのが基本です。大根おろしに近い状態にした大根を汁ごと加えてサンマを煮込むことで、大根に魚のうま味が染み込み、やさしい味わいに仕上がります。
サンマに火が通ったら身をほぐして背骨を取り除き、醤油を加えてひと煮立ちさせます。器に盛り付け、最後にねぎを添えていただきます。ご飯のおかずとしてはもちろん、酒の肴としても親しまれている、港町らしい家庭料理です。
サンマのきがきの基本的な食材
主な食材はサンマ、大根、ねぎです。シンプルな材料で作られるからこそ、サンマの脂とうま味、大根のやさしい風味をしっかりと味わうことができます。
三陸の豊かな海が育てる秋のごちそう
宮城県産さんまは、三陸の豊かな海と地域の漁業文化を感じられる秋の味覚です。気仙沼や女川などの港町では、新鮮なサンマを塩焼き、刺身、煮付け、つみれ汁など多彩な料理で味わうことができます。
なかでも産地ならではの新鮮なサンマを使った刺身や、地域の家庭で受け継がれてきたサンマのきがきは、宮城の食文化を知るうえでも興味深い料理です。旬の時期に三陸を訪れた際には、脂ののったサンマをさまざまな調理法で楽しんでみてはいかがでしょうか。