宮城県 » 松島・塩釜

熊野本宮社(宮城県名取市)

(くまの ほんぐうしゃ)

熊野本宮社は、宮城県名取市に位置する由緒ある神社で、名取熊野三社の一社として知られています。名取熊野三社は、全国に数ある熊野神社の中でも特別な存在で、東北地方の熊野信仰の中心的役割を果たしてきました。

創建は平安時代末期の保安元年(1120年)。当初は現在の社地から約500メートル南西の小館と呼ばれる小高い丘に鎮座し、その地名を「大原」と称していました。この「大原」という呼称は、紀州熊野本宮大社の旧社地である「大齋原(おおゆのはら)」に倣ったものと伝えられています。

歴史と由緒

源頼朝との関わり

熊野本宮社は、古くから武士の篤い信仰を受けてきました。特に有名なのは源頼朝との縁です。文治5年(1189年)、頼朝が奥州平泉征討に向かう際、この神社で武運長久を祈願し、その後の勝利を神恩と仰ぎ、再び参詣して深く感謝したと伝えられています。

伊達家の崇敬

中世から近世にかけては、奥州探題であった伊達晴宗をはじめ、伊達家歴代藩主からの崇敬も厚く、永禄6年(1563年)には本殿屋根の葺き替えや神輿・神馬・馬具の奉納を受けました。さらに、仙台開府以後は、元禄3年(1690年)以降、伊達藩から毎年玄米3石5斗が寄進されるなど、藩を挙げて手厚い保護を受けています。

遷座と社殿の変遷

現在の地に遷座したのは万治元年(1658年)。その後、元禄6年(1693年)には本殿が建て替えられ、長床や鐘楼、神輿殿なども整備されました。昭和8年(1933年)には拝殿と社務所が再建され、昭和58年(1983年)には幣殿・社務所の建て替えや本殿の修繕が行われ、現在の姿となっています。

御祭神

主祭神

熊野本宮社の主祭神は以下の三柱です。

これらの神々は、熊野信仰において特に重要視される神々であり、紀伊熊野本宮大社とも深い関係があります。

その他の神々

さらに、11柱の神を配祀しており、農業や生活に関わる神々への信仰も篤く、地域の人々の暮らしを支える神社として長い歴史を刻んできました。

社殿と境内の見どころ

本殿と長床

本殿は元禄6年(1693年)に再建されたもので、荘厳な造りが特徴です。また、社殿に付随する長床は延宝4年(1676年)に改築されており、神楽や祭礼に使われてきました。

音無川と神秘的な景観

境内の前には「音無川」と呼ばれる小川が流れています。これは、紀州熊野本宮大社の傍を流れる熊野川を模したものとされ、社殿とともに美しい景観を形成しています。

文化財・伝統芸能

熊野本宮社には、古く山伏によって伝えられたとされる熊野堂十二神鹿踊があり、名取市の無形民俗文化財に指定されています。この舞は、古来から五穀豊穣や悪疫退散を祈る神事として行われ、現在も地域の人々によって大切に継承されています。

名取熊野三社の特別性

熊野本宮社は、熊野新宮社・熊野那智神社とともに名取熊野三社を構成しています。全国には約3,000の熊野神社があり、そのうち約700が東北地方に存在しますが、本宮・新宮・那智の三社を独立して勧請し、地理的・方角的にも紀伊熊野を模して配置する例は全国でもここだけといわれています。

アクセス情報

まとめ

熊野本宮社は、名取熊野三社の中心的存在として、長い歴史と豊かな文化を今に伝える神社です。源頼朝や伊達家との深い関わり、荘厳な本殿や長床、そして受け継がれる伝統芸能は、この地の信仰と文化を物語っています。仙台近郊の歴史探訪や文化体験に訪れる価値のあるスポットとして、ぜひ一度足を運んでみてください。

Information

名称
熊野本宮社(宮城県名取市)
(くまの ほんぐうしゃ)

松島・塩釜

宮城県