横山不動尊の由来と歴史
横山不動尊の歴史は古く、1156年(保元元年)にさかのぼります。伝承によれば、百済から流れ着いた仏像を祀るために建てられた小堂(現在の奥之院)が始まりとされています。開基は橘知禅と伝えられ、長い歴史の中で地域の人々の信仰を集めてきました。
不動堂は津山杉の深い緑に包まれた山麓に建ち、その荘厳なたたずまいは参拝者を圧倒します。本尊は弘法大師・空海の作と伝わる純金製の不動明王像で、高さ約5cmという小さな姿で木造不動明王像の胎内に安置されています。この秘仏は12年に一度、酉年にのみ開帳される貴重なものです。
仁王門と山岡鉄舟の揮毫
境内の入口にあたる仁王門には、力強い金剛力士像(仁王像)が安置され、その楼上には十六羅漢像が並びます。さらに門に掲げられた扁額「白魚山」の揮毫は、幕末の三舟のひとりとして知られる山岡鉄舟によるもので、歴史的価値も非常に高いものとなっています。
重要文化財 木造不動明王坐像
横山不動尊の象徴ともいえるのが、木造不動明王坐像です。「横山不動」の名で広く信仰を集めており、その像高は275cmに達する丈六の巨像です。平安時代、奥州藤原氏の勢力下で造られたと考えられ、カツラ材による寄木造で、正中線と側面中央で矧ぎ合わせた4材から彫り出されています。
この像は保存状態が極めて良好で、両手の指先や右手に持つ宝剣も当初の姿をとどめているとされます。1997年(平成9年)に国指定重要文化財に指定され、今なお多くの参拝者や研究者を魅了しています。
天然記念物 横山のウグイ生息地
境内にある池は、約400年前に造成された楕円形の池で、東西30m、南北15m、周囲80mほどの規模を誇ります。湧水によって満たされるため、水温は年間を通して安定しており、多数のウグイが生息しています。このウグイは不動尊のお使いとされ、参拝者から餌を与えられながら大切に守られてきました。
1935年(昭和10年)には国の天然記念物に指定され、池だけでなく久保川・中川・寺川流域も保護地域に含まれています。産卵期には雄の腹部が赤く色づくことから「アカハラ」とも呼ばれ、季節ごとに異なる自然の表情を楽しませてくれます。
青銅五重塔と文化財
横山不動尊の境内には、青銅五重塔という貴重な文化財も存在します。高さは総高536.4cmに及び、青銅製の五重塔としては非常に大きな部類に入ります。屋根は別々に鋳造され組み合わされており、塔身は中空という独特の構造を持ちます。正面には地蔵の浮彫が施され、頂上には偏平な宝珠が載せられています。
この塔は1765年(明和2年)に仙台の鋳物師・高田定四郎慈延と早山八郎一次によって製作され、1957年に宮城県有形文化財に指定されました。そのほか、境内にはイチョウ、杉、カシの木もあり、1994年に市指定天然記念物となっています。これらの文化財と自然が一体となり、訪れる人に深い感動を与えます。
四季を彩る大祭
横山不動尊では、毎年4月27日・28日の春季大祭と10月28日の秋季大祭が開催されます。境内には多くの参拝者が集い、厳かな法要とともに、露店や伝統芸能が賑わいを添えます。地域住民にとっては一年を通じた大切な行事であり、観光客にとっても東北ならではの祭礼文化を体験できる貴重な機会となっています。
アクセス情報
鉄道でのアクセス
BRT気仙沼線「陸前横山駅」から徒歩約8分と、鉄道を利用して訪れることができます。駅から寺までの道のりでは、のどかな町並みや自然を楽しみながら歩くことができます。
自動車でのアクセス
三陸沿岸道路「桃生津山IC」より国道45号を経由して約10分。境内には参拝者用の駐車場も整備されており、自家用車での参拝も安心です。
まとめ
横山不動尊(大徳寺)は、国指定重要文化財や天然記念物を有し、自然と歴史、信仰が融合した特別な霊場です。木造不動明王坐像や青銅五重塔といった文化財を拝観するだけでなく、境内の池に生息するウグイや四季折々の祭礼を通じて、心癒されるひとときを過ごすことができます。東北地方を訪れる際には、ぜひ足を運び、この地ならではの文化と自然に触れてみてはいかがでしょうか。