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有備館

(ゆうびかん)

有備館は、宮城県大崎市岩出山に位置する、江戸時代の面影を色濃く残す歴史的建造物です。建物と庭園は「旧有備館および庭園」として、昭和8年(1933年)に国の史跡および名勝に指定されており、現在でも多くの来訪者を魅了しています。

その起源は、延宝5年(1677年)頃、岩出山伊達家二代当主・伊達宗敏公の隠居所として建てられたことにさかのぼります。当初は下屋敷や隠居所として利用されましたが、やがて藩士やその子弟を教育するための学問所へと用途を変え、文武両道の教育が行われました。弓道や馬術を行うための射場や馬場も備えられ、藩の人材育成に大きな役割を果たしていました。

日本最古の学問所建築

有備館の主屋である「御改所」は、茅葺き屋根を持つ書院造の建物で、日本最古の学問所建築といわれています。建物自体は寛永9年(1633年)に、焼失した岩出山城二の丸の仮御殿として建てられたもので、その後現在の場所に移されました。歴史的価値の高さから、建築史や教育史の観点でも極めて重要な文化財です。

美しい回遊式池泉庭園

有備館の庭園は、仙台藩御用の茶人であった清水道竿による作庭と伝えられています。岩出山城本丸の断崖を背景に、池の中に四つの島を配した回遊式池泉庭園となっており、御中島には茶亭が設けられ、橋で島々が結ばれています。樹齢300年以上の古木が四季折々の彩りを添え、春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、一年を通じて異なる表情を楽しむことができます。

有備館の沿革

創建から学問所への転用

元禄4年(1691年)頃、岩出山伊達家三代・伊達敏親の時代に学問所「春学館」として開設され、その後「有備館」と改称されました。以降、藩士の子弟教育の場として使用され、地域の教育文化の中心的存在となりました。

近代以降の歩み

昭和45年(1970年)、伊達家の厚意により、有備館と庭園は岩出山町(現・大崎市)に移管されました。昭和47年(1972年)には史跡の追加指定が行われ、保護区域が拡大しています。

震災と復旧

平成20年(2008年)の岩手・宮城内陸地震、そして平成23年(2011年)の東日本大震災により、有備館は甚大な被害を受けました。特に主屋は倒壊し、附属屋や庭園にも地割れや地盤沈下が発生しました。しかし、地域と関係者の努力により復旧工事が進められ、平成28年(2016年)4月に災害復旧事業の落成式が行われ、翌日から一般公開が再開されました。

有備館の見どころ

歴史的価値

有備館は、日本の近世教育史を語るうえで貴重な存在です。現存する学問所建築の中でも最古級であり、江戸時代の武家文化や教育制度を知る手がかりとなります。

四季を彩る庭園

庭園は訪れる季節ごとに異なる美しさを見せます。特に秋の紅葉と有備館の建物が水面に映る光景は格別で、多くの写真愛好家を惹きつけています。

アクセスと利用案内

所在地:宮城県大崎市岩出山字上川原町6番地
アクセス:JR陸羽東線「有備館駅」下車すぐ。東北自動車道古川ICから車で約15分。
開館時間:9:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
入館料:大人300円、高校生200円、小中学生150円(20名以上で団体割引あり)

周辺の観光スポット

岩出山城址

かつて伊達氏が居城とした岩出山城の跡地。城跡からは町並みや自然を一望できます。

中鉢美術館

刀剣史研究家・中鉢弘氏が私費で建設した刀剣専門の美術館。日本刀の源流を学ぶ貴重な展示や、名工正宗の刀剣が常設展示されています。

岩出山伊達家霊廟址

岩出山伊達家歴代当主の墓所。明治9年(1876年)の大火で霊廟は焼失しましたが、現在も墓石群が残り、静かに歴史を物語ります。

大堰(内川)

有備館沿いを流れる疏水で、平成18年(2006年)に「疏水百選」に選定されました。散策しながら水辺の風景を楽しむことができます。

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有備館
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