”ニューサマーオレンジ”、日向夏、小夏とも呼ばれ、普通のみかんよりは少し大きめでなめらかな表面と鮮やかな黄色の外見をした柑橘類。
控えめの甘さと、さわやかな酸味がグレープフルーツやレモンに近い味わいで、果皮は厚さはあるがやわらかく、ふわふわとした食感の白皮がさっぱりとした味わい。
りんごのように薄く外皮を剥いて果肉と一緒に食べられる。薄くスライスして、砂糖や蜂蜜をかければ、酸味と甘みがあいまったかんたんデザートとして楽しめる。
旬 4月 5月 6月
ヒュウガナツ(日向夏、学名: Citrus tamurana)は、ミカン科ミカン属の常緑低木の柑橘類です。宮崎県が原産地で、江戸時代に発見されました。果実は皮も果肉も黄色く食用として利用され、苦味もほとんどありません。別名としては「小夏」「ニューサマーオレンジ」とも呼ばれます。
起源
1820年に宮崎市の真方安太郎の邸内で偶発的に実生し、酸味が強い状態で発見されましたが、その後広く栽培されるようになりました。
現在では宮崎県以外の地域(高知県、愛媛県、熊本県、静岡県伊豆半島、神奈川県西部など)でも栽培されていますが、他県では「小夏」「土佐小夏」「ニューサマーオレンジ」として出荷されることが一般的です。
宮崎県の木原果樹会は1992年から宮崎大学農学部の指導の下で温室での「種なし栽培」に取り組み、その結果「種なし日向夏」ができるようになりました。
名前
宮崎県出身の教育者である田村利親(1856-1934)が「カンキツ」の優れた品種であることを認め、1887年に「日向夏蜜柑」と名付けました。
田村は日向夏の穂木と苗木を実家の父・利保に送り、そこから日向夏の栽培が広がったとされます。学名は柑橘研究の権威である田中長三郎により、Citrus Tamurana Hort.TANAKA(シトラス・タムラナ)と命名され、田村利親の名前を記念しています。
特徴
ヒュウガナツは、在来品種と考えられていたが、遺伝解析によりタチバナが花粉親であることが分かっています。
成熟する果実は約300グラムで、温州みかんよりやや大きいです。表皮は厚く黄色で、果肉は酸味があり甘さは控えめで、独特の風味があります。
他の柑橘類と違い、果実の表皮における白い部分も食べられますので、黄色い外皮を薄く剥いて食べると良いです。この白い部分はふかふかとした食感で、苦みや渋みはありません。
ヒュウガナツは、そのまま食べたり、果汁を絞ってジュースにしたり、外皮を剥いてスライスし、砂糖をかけて食べることができます。
また、太巻きや餃子の具としても使われることがあります。皮を利用してマーマレードにすることもできますし、果実酒にすることも一般的です。
日本における収穫量は主に宮崎県と高知県が中心で、2010年の収穫量は5,714トン、その内訳は宮崎県55%、高知県28%でした。